昼下がり、保健所から連絡が来ました。
たまきちのトライアルがキャンセルになったと。
先住猫さんがいるので、エイズキャリアのたまきちを引き取るのはやはり不安が大きいとの事でした。
これは、英断だと思います。
不安がある中で猫を飼うのは適切ではありません。
やめる決断も素晴らしいこと。
でも、書類の提出もあったので、たまきちの顔を見に保健所へ行きました。
たまきちー!ルドルフー!
皆んなに挨拶していると、いつも元気に寄ってくるゆうひおじいちゃんが、床にうずくまっています。
職員さんに聞くと、今朝から調子が悪いとのこと。
あまり状態が良くなさそう。
保健所で出来る治療は今日してくださっていました。
他にも今日入ったばかりの瀕死の子。
たまきちの今後の流れを決めようと思ったのに、気がかりがいっぱい。
一旦、猫舎を出て、職員の方、倉敷猫まもりの会の方と状況のすり合わせをします。
すぐに動けるのは私のみ。
たまきちの今後は倉敷猫まもりの会の方に委ねて、私はとにかく2人を病院へ連れて行く事に。
再び猫舎に戻ると、ゆうひおじいちゃんは寝転びぐったりしています。
!!!!!
込み上げるものがありますが、何とかこらえながら、キャリーに移動させます。
おじいちゃん、頑張って。
子猫は子猫で、同じくぐったりしています。
冷静さは保ちつつ、とにかく急いで病院へ向かいます。
事前に緊急で向かう旨は伝えてあります。
車を停めて、キャリーを下す際、ゆうひおじいちゃんの顔を見ると目が開いている。
お願い、待って。
走って病院のドアを開け、2人を連れていきます。
診察台にゆうひおじいちゃんを乗せると、先生から
「もう最期の息です。」と。
この状態で出来る事はありません。
ゆっくりと下ろし、撫でていると、とても静かに息を引き取りました。
凄く穏やかな最期でした。
人に長く育てられ、人に捨てられ、保健所に入って、最期を迎える。
私が看取ったから最期は幸せだった。
そんな事は思えません。
ただ、ただ、穏やかに亡くなった事だけが救いに感じました。
その頃、瀕死の子猫は診察台で少し動いたり、頭を持ち上げたりしています。
状況は極度の脱水。
かなり厳しいとの事でした。
補液の点滴やビタミン注射等をしてもらい、明日も朝一で受診する事に。
とにかく保温と、シリンジでの給水をこまめにしてくださいと言われ、急いで帰路につきます。
家に着けば、とっくに過ぎている皆んなのご飯を大急ぎで準備し、子猫用の隔離場所を整え、やるべき事をこなします。
子猫をぬくぬくのベッドに移して、今晩はずっと看病です。
でも、私もご飯を食べなくちゃ。
そんな所だけは何故か冷静になりながら、自分の事も済ませ、隔離部屋にこもります。
お世話になっている保護施設の方にもアドバイスをいただきました。
そんな中、ぬくぬくベッドで寝ていた子が急に頭を持ち上げます。
手も動かし、ベッドから這い出てきました。
床に寝そべった状態になり、小さく痙攣をした後、ひっそりと息を引き取りました。
看病する間もなかった。
酷い脱水だと辛かっただろうけど、最期は少しは穏やかだっただろうか。
ぬくぬくベッドに入っていた時はゴロゴロ鳴いていたんだけどな。
病院へ向かう途中、私はゆうひおじいちゃんの最期の声を聞きました。
私は、「大丈夫よ、すぐ病院へ着くよ」って言ったけど、おじいちゃんは「もういいよ」って言っていたのかな。
でも、今でも突然また動くんじゃないかって気がしてなりません。
見ていると、また今にも呼吸を始めそう。
何度も耳を近付けてしまう。
明日また、2人を保健所に届けに行きます。
名も無き子猫
虎徹が散らかしたと困っています